随分前に 藤原ナオヒロのオフィシャルサイト のインタビューでも少し語ったことだけど、最初は全くプロデュースする気持ちなんて無くて、彼はさっさと田舎に帰ったほうが良い…と思っていた。 大志を抱いて田舎から出てきても、気がついたらやり直すには手遅れの年齢になって、惨めな人生を送っている奴、たくさん知っている。才能があれば必ず成功するってもんでもないし(そもそも「成功」ってなんだ?)、運を当てにするのはいいけど、他人の人生に責任なんて持てない。何の約束も保障もしてあげられない。 だから知り合ってから最初の一年間くらいは、一定の距離を持って見守っていた。安請け合いだけはするまい…と心に固く誓っていた。 結局は彼の「覚悟」のようなものを感じて、こちらも心を動かされ、本格的にサポートをするようになった次第だけど、やるからには彼にもいろいろな条件を課さなければならなかった。ここではその詳細を書くつもりはないけど、ひとつだけ明かすと「恋愛禁止」(笑)。 いまどきそんな前時代的な?と思われるかもしれないけど、実は意外とリアルに切実な問題だ。 実際問題、恋愛している時間ないでしょ?ってこと。それでも「ただの恋愛」のうちはいい。音楽のほうが優先順位が高いうちはね。ある程度まではこちらも見てみないフリはするつもり。 でも、「結婚」とかになってくると話は違ってくる。 結婚するということは「生活」していく、ということだ。生活のため、収入のために不本意な仕事を受けるようになるし、場合によっては自分のクリエイティビティに反することをしなければならなくなる。 (この時点で夢の方向転換をする輩がどんなに多いことか…) だいたい子供でも出来たら、いつの間にか子供優先、家庭優先になり、たくさんの「守るもの」に押しつぶされるようになる…そーゆー奴、たくさん見てきた。そうなったら目も当てられない。シアワセ一杯の子煩悩なマイホームパパになってしまったら、もう修復不能だ。 彼は「アーティストとしてやっていきたい」と言って僕のもとに来たのだから、それは守ってもらおう。こっちだって生活が懸かっているんだ。 「普通の人が手に入れられないものが欲しいなら、普通のシアワアセはあきらめて」 これが僕が彼に課した条件のひとつだ。 アーティストなら恋愛経験も必要なんじゃないの?と思う人もいる...